子育てしながらの司法試験受験に絶対必要な3つの要素 女性弁護士になろう

子育てしながらの司法試験受験に絶対必要な3つの要素 司法試験

すでにお子さんがいらっしゃる、子育て中のママが司法試験にチャレンジする場合のお話をしたいと思います。今回は、特に小さいお子さんを育てながら受験を目指すママを想定して解説していきます。

結論からいえば、子育てと司法試験受験の両立は「とても大変」ですが「決して不可能ではありません」。実際に、過去の合格者の中には出産や子育てを経験しながら合格を勝ち取った人もいます。その人たちに共通していたのは、以下の3つの条件をきちんと整えていたことでした。

(1)周囲の協力、応援体制
(2)経済的な余裕・目処
(3)感傷的にならないポジティブマインド

それぞれ詳しく見ていきましょう。

周囲の協力、応援体制

まず、子育てママが司法試験を目指すにあたって最大の壁となるのが「時間の確保」です。司法試験は大学受験のように短期間の猛勉強で突破できるものではなく、最低でも数年単位での取り組みが必要になります。

勉強時間を捻出するためには、どうしても「よき母」「よき家庭人」という役割から一時的に離れる覚悟が必要です。食事作り、掃除、子どもの送り迎え、習い事の付き添い――これらをすべて自分一人で担っていては、到底まとまった学習時間を確保できません。

したがって、パートナーや祖父母など、周囲の人をどれだけ味方につけられるかが合否を分ける大きなポイントになります。たとえば以下のような協力体制をあらかじめ整えておくと安心です。

  • 保育園や学童保育の延長利用

  • 祖父母や親戚に定期的に子どもを預かってもらう

  • 家事代行サービスの利用(掃除・料理の外注)

  • パートナーに家事分担を明確化してもらう

もし、家族の反対に遭いそうなときは?

口先だけで、「司法試験受験に挑戦したいと思っている」と伝えても、「無理じゃないか」「子育てに支障が出る」「その歳で?」などなど、反対意見をたくさん挙げられてしまいます。

なので、もし家族の反対に遭いそうな場合は、「フライイングこっそり勉強」が有効です。こっそりと司法試験の勉強を開始してしまうのです。

いきなり「司法試験を受けたい!」と宣言するのではなく、まずは独学で半年〜1年間、毎日コツコツ勉強を続けます。その成果として、使い込んだ参考書やノート、勉強記録を積み重ねてから「実はずっと勉強していた。本気で合格を目指したい」と伝えるのです。こうすれば「思いつきではなく本気なんだ」「子育てと両立しながらここまでやってきた」という実績を示すことができ、家族も現実味をもって応援してくれる可能性が高まります。

「フライイングこっそり勉強」のポイントは、
・必ず毎日勉強し日付を記録に残す
・1冊の入門参考書、1つの入門講座などを終える

ことです。

あなたがどれだけ本気で司法試験受験に挑戦しようと思っているのかを、勉強記録と真っ黒な参考書とともに家族に示しましょう。
もし、この「フライイングこっそり勉強」の時点で挫折してしまうようなら、そもそも挑戦自体を考え直したほうがようでしょう。

経済的な余裕・目処

子育て中のママが司法試験にチャレンジする場合、経済的な余裕・目処はとても重要です。
司法試験受験のあいだの生活費と司法試験受験にかかる費用をどうするのかという問題をクリアしなければなりません。

特に子育てママ受験生の場合、勉強時間の制限がありますから、最短年数で合格するとは限りません。その間に子どもはどんどん成長し、教育費などがどんどん増大していきます。子どもの進路次第では、予定外の出費が必要となる可能性もあります。
あなたのせっかくの一世一代のチャレンジが経済的な理由で挫折してしまうのはとても残念なことです。けれども、親である以上は子供のことよりも自分を優先するわけにはいかないわけです。したがって、大事なのは経済的な余裕を保つこと、カツカツ状態を避けることです。

あなた自身に十分な蓄えがあるという場合は別ですが、そうではない場合は、十分に家族と話し合う必要があるでしょう。

資金計画の工夫例

  • パートナーと徹底的に話し合い、家庭の収入・支出を透明化する
  • 奨学金や教育ローンを利用して、急な出費に備える
  • 一定期間は働きながら独学で基礎を積み、その後に本格的に受験勉強に集中する
  • 万が一のために、頼れる親族やサポート先を確認しておく

どうやっても経済的余裕がなく、カツカツ状態を避けられないという場合は、独学で基礎的な勉強を進めながら働いてお金を貯めましょう。お金がある程度貯まってから、法科大学院に入学するなど本格的な受験勉強を始めてくだあい。
カツカツ状態で本格的な受験勉強を始めてしまった人を知っていますが、そういう人は、パソコンが壊れた、法律の本が欲しい、という臨時出費のたびにバイトをしたりします。バイトで忙しくしているうちに、勉強がちょっとずつ後退し…という末路をたどってしまうのです。

子育てママ受験生は、余裕ある資金計画をする、あるいは、いざとなったときにまとまったお金を頼める親などがいるという状態でスタートしましょう。

感傷的にならないポジティブマインド

子育てしながらの司法試験受験に絶対必要な要素の3つ目は、感傷的にならないポジティブマインドです。

司法試験の勉強時間を確保するためには、子どもを長時間預けることになります。その結果、あなたは子どものちょっとした成長の瞬間を見過ごすことになるかもしれません。子どもがママを恋しがって泣くかもしれません。
でも、そのことに罪悪感を持ったり、感傷的になったりしては心が持ちません。試験勉強にも支障が出て、二兎を追う者になりかねません。
司法試験への挑戦を決意した以上、ゴールである合格を勝ち取るまでの数年間は子育てに関する感傷を捨てましょう。

司法試験受験というのは、あなたの人生の挑戦です。人の親となる以前からある自分という1人の人間の自己実現としての挑戦なのです。
そして、それは孤独な挑戦であり、膨大な時間とエネルギーを要します。
他方で、子育てをしたことがある人ならわかると思いますが、子育てというのは、子どもという別人格を中心に回る自己犠牲的かつ非典型的なものです。
要するに、司法試験受験と子育ては、本質的に相容れない対極的なものです。対極的な、相容れない 2つの行為を1人の人間が同時並行でやっていこうというのですから、 どちらかが多少うまくいかないのは当たり前のことです。

そこをカバーするために、【周囲の協力、応援体制】【経済的な余裕・目処】があるのですから、あなたは感傷に浸って無駄なメンタルを消費することのないよう、強く突き進むべきです。
想像してください。子育てママが司法試験に合格したらすごいことです。子どもは母親の背中をよく見ています。あなたが努力を重ね、司法試験に合格する姿を見せることは、長期的に見れば子どもにとってかけがえのない教育になります。「ママが夢を叶えた」という事実は、子どもに勇気と誇りを与えるのです。
ポジティブマインドで数年間のチャレンジを駆け抜けましょう。

まとめ

子育てと司法試験受験は、本来なら相容れない活動です。子育ては自己犠牲的であり、司法試験は自己実現的。両者を同時にやり遂げるには、並大抵の覚悟では足りません。

だからこそ、

  • 周囲の協力をしっかり巻き込み

  • 経済的な余裕を確保し

  • 感傷に流されない強いマインドを持ち続ける

この3本柱をそろえることが必須条件となります。

司法試験合格は長い道のりですが、ゴールに到達したときには「ママだからこそできた挑戦だった」と胸を張れる瞬間がやってきます。あなたの努力は必ず子どもにも伝わり、尊敬と誇りに変わります。

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