「弁護士になりたい」――そう思ったときに、多くの人がまず口にするのが「でも、もう遅いんじゃない?」という言葉です。
とくに女性は、キャリアの途中で結婚や出産、子育てなどライフイベントが重なり、「弁護士なんて自分には無理」と諦めてしまうケースが少なくありません。
本記事では、
- 今から弁護士を目指すことは可能なのか?
- 弁護士に向いているのか?【弁護士適性診断】
- 日本における女性弁護士の現状や働き方
といったテーマをわかりやすく整理しました。
これを読めば、「本当に自分でも弁護士になれるのだろうか?」という疑問が少しずつ解けていくはずです。
今からでも弁護士になれますか?
結論から言えば――年齢制限はありません!
It is never too late to be what you might have been.
(なりたかった自分になるのに遅すぎることはない)
司法試験には受験資格はありますが、年齢による制限は一切ありません。いまこれを読んでいるあなたが何歳であってもチャレンジできるのです。実際のデータでも、最年長合格者は71歳(男性)だそうですし、私の実際の知り合いでも50代前半で合格した女性がいます。
GirlsBeLawyersは、若いエリート学生よりも、社会人経験者・子育てママ・中高年女性の再チャレンジを積極的に応援したいと考えています。
なぜなら、私自身もさまざまな経験を経て30歳代前半で合格した「転職組」だからです。再チャレンジ組を応援することで、多様なバックグラウンドを持つ女性弁護士を増やしていきたいのです。
人生経験が強みになる理由
若い合格者と比べて、年齢がハンデにならないのが弁護士という職業の特徴です。
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個人のクライアントの場合
弁護士は非常にプライベートな悩みを打ち明けられる相手です。人生経験豊かで人の痛みを知る弁護士の方が、依頼者から信頼されやすいものです。 -
企業クライアントの場合
社会人としてのマナーやビジネス知識を持つ弁護士は、学生上がりの弁護士よりも安心して仕事を任せてもらえるケースが多くあります。
さらに、もしあなたが前職で特別な知識・人脈・経験を持っているなら、それは大きなアドバンテージです。専門分野において他の弁護士に差をつけられますし、人脈を通じて案件を獲得することも可能です。
大人が挑戦する際のハンデ
一方で、若い受験生と比べてハンデになるのは時間とお金の不足です。
学生が「弁護士になりたい」と言えば、親は生活費や学費を全面的にバックアップしてくれるでしょう。しかし大人になってからのチャレンジでは、そうした支援を得にくいのが現実です。
- 家事や育児をこなしながら勉強時間を確保しなければならない
- 生活費を稼ぎながら勉強資金を捻出しなければならない
これらは大きな壁になります。ですが、先輩たちの工夫や実例を知れば乗り越えることはできます。この点については、別記事で具体的に紹介していきます。
弁護士適性診断に挑戦!
「弁護士って誰でもなれるわけじゃないでしょ?」「自分は向いているの?」――よく寄せられる質問です。
そこで、簡単な弁護士適性診断を作りました。自分に当てはまるものにチェックしてみてください。
適性診断リスト
- 文字を読むのが好き
- 一つの趣味・スポーツを何年も継続したことがある
- 団体行動よりも個人行動が好き
- 学校の成績は上位だった
- 人に感謝されることを嬉しいと思う
- 理屈っぽいと言われたことがある
- 聞き役になるのが苦痛ではない
- 飲食などのサービス業に就いたことがある
- 粘り強いほうだ
- 地味な作業ができる
- 勉強が嫌いではない
- コミュ障ではない
- 失敗してもくじけないタイプだ
- プレッシャーに強い
- 国語が得意
- 人の役に立ちたい
- フットワークが軽い
- 頭がいいと言われることがある
- 負けず嫌い
- コツコツ努力型
診断結果
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0〜5個 → あまり向いていないかも
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6〜10個 → まあまあ向いているかも
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11〜19個 → けっこう向いているかも
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20個 → 生まれながらの弁護士かも
弁護士適性診断の解説
弁護士の仕事は、「文章」と「人」に向き合うこと、そして粘り強い繰り返しです。
- 法律は文字で書かれていますし、判例や解説も文章です。さらに訴状や意見書も文章で主張を伝えます。そのため、読む・書くことが苦手な人には向いていません。
- 実際に弁護士になった後は、クライアント対応が不可欠です。サービス業の側面が大きく、人の話を聞き、寄り添う姿勢が求められます。そのため、サービス精神が旺盛で人のために動ける人が向いています。
- 司法試験に合格しないことには、弁護士として稼働できません。合格には少なくとも2〜5年ほど勉強に集中する覚悟が必要です。地味な努力を継続できない人は、そもそも根本から向いていません。
女性弁護士の現状
では、日本に女性弁護士はどれくらいいるのでしょうか?業界の現状を知ったうえで、ご自身が女性弁護士になるかどうかの判断材料としてください。
2023年現在、日本の弁護士は約4万5千人。そのうち女性は9千人弱で、全体の20%弱に過ぎません。かつては数%しかいなかったことを考えると大きな進歩ですが、いまだに男社会です。
ちなみにフランスでは2009年以降、女性弁護士が男性を上回っています。日本の女性比率は国際的に見ても低いのです。
女性弁護士が多い地域
弁護士の約半数は東京に集中しています。女性弁護士も同様で、東京・神奈川・埼玉・千葉に全体の60%が集まっています。
地方では県内に100人しか弁護士がいないこともあり、女性弁護士を探すのが難しいケースが少なくありません。別記事で書きますが、女性弁護士へのアクセスは地域によって偏っているのです。どこの地域で開業・就業するかによって、女性弁護士としての希少性・需要も大きく変わるといえます。
女性弁護士 働き方の実態
9千人弱の女性弁護士のうち、約15%は企業に所属する「インハウスロイヤー」として働いています。
理由はシンプルで、収入が安定し、福利厚生も整っており、ライフワークバランスを取りやすいからです。
一方で多くの女性弁護士は法律事務所に所属したり、独立して事務所を経営しています。企業の顧問業務や個人事件の受任など、伝統的な弁護士スタイルです。
女性弁護士 年収について
平均的には男性弁護士より低い傾向があります。背景には以下の要素があります。
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中高年女性弁護士が少なく、経験年数で不利
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妊娠・育児で仕事量をセーブするケースが一定数ある
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官公庁や企業の重要ポジションに男性が入りやすく営業面で差がつきやすい
ただし、もちろん男性と同じようにバリバリ働き、高収入を得ている女性弁護士も数多くいます。他職業と比べても年収水準は高めであり、キャリア次第で大きな成果をあげられる世界です。
まとめ
- 弁護士には年齢制限がなく、社会人やママ、中高年でも挑戦できる
- 人生経験や前職の知識は大きな強みになる
- 適性は「文章力・継続力・サービス精神」にあり
- 女性弁護士は増えているが、まだ全体の2割程度
- 働き方は多様化し、インハウスから独立開業まで選べる
「弁護士になりたい」と思った瞬間が、あなたにとっての最適なスタートラインです。
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